日本では冬鳥として知られるジョウビタキ。少し前までは日本は繁殖地ではなく越冬地とされてきた。ところがようやく、2025年5月に安曇野市での繁殖を証明できた(まだ、収集したデータの整理は完了していないのだが)。
信濃毎日新聞2022年5月松本県ケ丘高校(松本市)1年の田中葉さん(15)が松本市筑摩で幼鳥の撮影に成功していた記事が掲載されていた。私はしばらく後になってネットの情報で知った。
ジョウビタキ、松本市で高校生が繁殖確認 自然環境の変化か[信濃毎日新聞デジタル2022/06/25]
その翌年となる2023年4月20日に自宅の庭に放置していたポリバケツに、オスの姿をみつけ慌ててカメラを向けたが逃げられ、追いかけると自宅の庭の大きな槐の木に移動。撮り逃しを恐れ枝被りも気にせずすぐにシャッターを押した。手前の枝にピントが合ってご覧の通りの情けない写真。その時は「日本に居残りでまだ旅立たないのかな?」と思っていた。


ところが、その後散歩中に自宅近くで次々と遭遇することになり、ここで冒頭の新聞記事を知り、幼鳥らしき姿(この時の例は確信はない)にも遭遇していたので営巣場所の特定に躍起となっていた。
2023年5月にはメスがムカデをくわえて運ぶ様子を確認したので「定住している」と確信した。そして2024年には親鳥と幼鳥の集団に遭遇し、ビデオ映像にも収め「近くで繁殖している」ので、何とか営巣場所を特定して証明したいと考えていた。
そしてその思いが通じたのか、2025年になってようやくその思いが叶った!
これまでと違い、自宅周辺での遭遇機会が多く、また(警戒してか)私の近くをオスとメスが交互に飛び交って離れない。離れて遠くから様子を観察すると、なんと自宅の物置に入っていく姿をみて「もしや」と思ってドキドキした。
こんな所で営巣しているのかと驚いた。これまで自宅周辺では巣箱を設置してコムクドリやヤマガラ、シジュウカラの営巣を観察してきた私だ。ジョウビタキはなんとも控えめで、ヒナの声が小さい。発見が遅れた原因でもある。
ヒナが騒げばもっと早く気づいていたはずだ。最初は「巣作りを開始したばかりなのだろうか」、それとも「もう抱卵しているのかな」どと思い、不用意に近づくことができなかった。営巣を放棄されては困る。しかし、オスもメスも虫などの獲物をせっせと運んでいる。するともう卵は孵化してヒナに給餌しているのだろうと思い、恐る恐るカメラを手にして巣があると思われる場所を撮影した。
すると、ヒナはもうかなり大きくなっていた。こうなれば簡単には放棄しないだろうと思い、近くにビデオカメラを素早く設置して観察することにした。だからといってあまり巣に近くてはまずいと思い、巣の中を覗き込むような位置への設置は避けた。
カメラを設置して気づいたが、ジョウビタキの場合はコムクドリと同じく、オスとメスの外観がはっきりと分かれて識別しやすい。どのアングルからでも、また体の一部でもオスとメスの判別がつきやすい。ヤマガラやシジュウカラではそうはいかない。
だとしたら、オスとメスそれぞれの給餌回数くらいなら、撮影した映像をチェックすればカウントできると気づき、もうやるしかなかった(映像の後にいくつかのデータを示しています)。
5月10日に無事7羽のヒナが巣立って行った。
その後、オスとメスの給餌回数、その時刻、気象データ、回収した巣の状況などを整理したが、まだ全体がまとまっていない。



さらに、日本野鳥の会がジョウビタキの目撃情報を求めていることを知った。自宅周辺での繁殖例に気を取られてばかりいた私だが、目撃した場所や時刻、オスかメスか、個体数など研究に役立つのであればと思い注意してみていると、夏季でも頻繁に遭遇していることが分かった。
新聞報道にあったように、松本市筑摩でも実際に遭遇した。また、仕事で車を運転して松本市内を走ることが多いのだが、岡田・沢村・並柳・梓川・波田・中川などでも遭遇したため野鳥の会に報告した。さらに自宅周辺でも別の営巣場所が特定できるなど、かなり繁殖地域を拡大しているように感じる。
2025年秋以降、今も自宅周辺で頻繁に姿を見ているので、今後さらにデータが収集できれば記録しておきたいと考えている。できれば巣箱にカメラを設置して営巣の様子一部始終を記録できれば良いのだが、さて私が毎年繁殖の支援をしているヤマガラやシジュウカラが許してくれるだろうか?